賃貸物件退去時には、敷金から物件の原状回復などにかかる費用が差し引きされて返ってこない、と諦めていませんか?明細を確認してみると、本来支払う必要のない修繕費が請求されている場合も!今回は、成功者の声を聞きながら、新規回収に役立つチェックポイントを確認しましょう。
設備の耐用年数を知っておこう!
10年暮らしていたアパートを引っ越すことに。敷金はいくらか返ってくるのかと思っていましたが、逆に修繕費を請求されてびっくり!インターネットで調べてみて、耐用年数が切れている備品に対しても請求があったので、不動産会社に連絡して相談した結果、逆に敷金が少し返ってきました!
東京 R.W
賃貸物件は、借主が出ていった後にきれいな状態に戻し、次の入居者を受け入れる準備を整えます。このとき、その原状回復のための費用を貸主と借主がどれだけ負担するかについて、国都交通省が定めた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版) 」では以下のように定めています。
- 貸主:通常の経年劣化に伴う部分の修繕費を負担
- 借主:住んでいて故意・過失・善良な管理義務違反などで通常の経年劣化以上に損傷させてしまった部分の修繕費を負担
この「経年劣化」は、賃貸物件そのもの・壁紙などの設備に定められた法定耐用年数によって計算できるようになっています。例えば、壁紙は耐用年数が6年です。壁紙は、6年経過すると価値が1円となります。この壁紙が新品で1万円だとすると、3年経過した時点で価値は5千円と半減。借主の過失で壁紙を替えることになったとしても、3年経過していれば負担は新品の半額となるのです。
借主は、単なる経年劣化で交換する設備や備品についてはその交換費用を負担する必要はありません。借主がきちんと管理・手入れをしなかったという場合は修繕費を借主が負担します。しかし、経年劣化した分は負担の必要がないことは、基礎知識として覚えておきましょう。
主な設備・備品の耐用年数は以下の通りです。
- 耐用年数5年:流し台
- 耐用年数6年:畳床、カーペット、クッションフロア、冷房用、暖房用機器(エアコン等)、電気冷蔵庫、ガス機器(ガスレンジ)、インターホン、壁紙
- 耐用年数8年:主として金属製以外の家具(書棚、たんす、戸棚、茶ダンス)
- 耐用年数15年:便器、洗面台等の給排水、衛生設備など主として金属製の器具・備品
修繕費の明細書はしっかりと確認して、自身の居住年数に応じた修繕費になっているかどうかをチェックしましょう。
フローリングは物件と同じ法定耐用年数で計算
築年数45年の古い賃貸物件から引っ越すことになりました。長年住んでいたのでフローリングの床が傷ついていたので相当の修繕費が請求されるのかと思っていましたが、築年数が古い影響で、あまり大きな負担にならず、ホッとしました。
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フローリング、ユニットバス、浴槽、玄関など、それから造り付けになっている下駄箱、柱などは耐用年数を考慮しない、と定められています。ただし、フローリング全面張替の場合は、その建物の法定耐用年数を耐用年数として計算することと定められています。建物の法定耐用年数は、以下のように、構造ごとに定められいます。
- 軽量鉄骨造:19年
- 木造:22年
- 鉄骨造:34年
- 鉄筋コンクリート造:47年
古い物件の場合ほど、借主負担は少なくなります。例えば築17年の鉄骨造のワンルームマンションで、フローリングの複数個所に傷がついてしまった場合、全面張替を行い16万円かかったとすると、借主は半額の8万円負担となる計算です。
口コミのケースでは、鉄筋コンクリート造りでも法定耐用年数は残り2年だったため、修繕費の負担が少なくて済んだのでしょう。
引っ越し時の原状回復費用と賃貸契約書はしっかり確認を
賃貸物件退去時の原状回復費用は、借主側にもある程度の知識がないと、損をする場合があります。賃貸契約書に別途原状回復費用について定められていないかどうかもあわせて確認し、修繕費の請求書は細かく確認しましょう。